二次創作的ゼノシリーズ考察

"Xenogears"および"Xenosaga"の超個人的見解入りまくり二次創作的考察

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 アニムスの覚醒
 マリアと巫女
 アニムス(マリア)の復活

 

 古代ロストエルサレム考察

 

マリアと巫女 / Xenosaga

マリアの巫女の誕生 90%

 古代ロストエルサレムにおいて、アニムスはアニマと共に人の姿を取り、おそらく東部地中海沿岸地方(イスラエルやシリアなど)で暮らしていた。アニムスは人々にマリアの名で呼ばれ、彼女には半身とも称されるほど親しい間柄にあった少女がいた。マリアは彼女を愛するあまり、自らの力の一部を分け与える。彼女を失うことを怖れ、永遠に少女と共にいたいと願ったからだ。
 力を与えられた少女は、名実ともにマリアの半身となった。マリアの巫女の誕生である。

マリアが愛した少女 100%

 世界の始まりから、下位領域監視システムを成すアニマとアニムス、そしてゾハルは共に在った。やがて地球に誕生した人類が進化を遂げ、高度な精神活動を行うようになり、アニマとアニムスは人類から人間の姿で知覚された。意識を持たないゾハルは、そのまま黄金色の物体として認識されていた。

 人々が三者をどう扱っていたのかは謎だが、宗教的なものが関わっていたのは間違いないだろう。
 人がゾハルに触れると罰が当たるが(消滅)、アニマやアニムスが触れても何ともない。そして、アニマもアニムスも歳を取らない。人類は神秘に満ちた黄金色の物体ゾハルを特別視するようになり、常にゾハルと共に在るアニマとアニムスを、ゾハルの守り手と見做すようになった。
 彼らは人々にとって信仰の対象であると同時に、畏怖の対象でもあった。人と同じ姿形を持ち、大勢の人々に囲まれながらも、アニマとアニムスは人々の輪に入ることができなかった。人々が作った崇拝という高い壁が、彼らを拒んでいたからである。

 アニマとアニムスは孤独な場所から、変化に富んだ人間関係を数多く見てきたに違いない。家族、親友、恋人たち、敵と味方、王と臣民。複雑な感情が織りなす、人間同士の深い繋がりや絶対的な拒絶。二人にとってそれらは、決して手に入らないものだった。彼らは次第に、人々との人間的な関わり合いを求めるようになる。だがいくら彼らがそれを望んでも、人々は畏怖の念からそれを受け入れることができなかった。

 気の遠くなるような長い孤独の果てに、偶然にもアニムスはひとりの友人を得ることになる。アニムスに仕えていたひとりの少女が、信仰の壁を越え、アニムスの心を受け入れたのだ。アニムスが渇望していた、心を伴う他者との交流。それがどれほどアニムスにとって嬉しかったか、想像に難くない。
 友人の存在は、アニムスの意識に様々な影響を与えた。喜びや悲しみ、怒り、慈しみの心。初めて知った感情は、それまで彼女を取り巻いていた孤独な世界を、豊かな色彩で彩ったことだろう。そしてアニムスが得た新しい世界の中心には、彼女を変えてくれた巫女がいた。アニムスは初めて、巫女と共に在るという自分の存在意義を見出したのである。

 アニムスにとって巫女がどれほど大切な存在であったか、そしてどれほど彼女を愛していたか。ここに書いたことはすべて想像でしかないが、どのような過去があったにせよ、アニムスが巫女に対して特別な感情を抱いていたのは間違いない。力の一部を分け与えてでも共にあり続けたいと願うほど、アニムスは巫女を必要としていたのだ。

 アニマの場合、アニムスにとっての巫女に当たるのは、おそらくイエスである。イエスはヨハネの洗礼を受けて伝導を開始したが、その途中でアニマやアニムスたちが暮らす土地も訪れたと思われる。ゾハルを信仰対象とした宗教的共同体は、後の救世主イエスが否定する偶像崇拝に当たり、彼は伝導に訪れた先々で正しい信仰(偶像崇拝のみならず、信仰に関連した金銭授受や過剰な律法主義などの否定)に立ち返るよう人々を諭しているからである。ゾハルとその守り手の噂は、周辺の国々に広く知れ渡っていたであろうから、イエスがそれを糾すために訪れた可能性はある。

 崇拝からの解放をもたらしたイエスは、アニマやアニムスだけでなく、アニムスの孤独を知る巫女にとっても、何者にも換え難いほど尊い存在となったはずだ。後にケイオスがイエスにレメゲトンを託したのも、マリアがイエスの妻となったのも、それだけ彼らがイエスを信じ、愛していたなによりの証左である。

巫女の病 95%

 AD30年頃にマリアからアニムスのCの力の一部を与えられた巫女は、おそらくシオンと同じ病に冒されていったと思われる。ケイオスやマリア、そして巫女はイエス・キリストと行動を共にしていたが、彼らの起こす奇跡の力の源は、ウ・ドゥの観測行為だった。このときのプロセスを以下に記載する。このプロセスは、マリアが一時的に覚醒したときのKOS-MOSとシオンの関係と同じである。

 1. 使徒たち(アニマ反応者)が祈る
 2. ケイオス(アニマ)が覚醒して固有波動を発生(本来ならばここで同時にアニムス起動)
 3. 巫女がアニムスのCの力を発動し、自分の意志を上位領域に伝達する。
 4. 伝達を受けた上位領域の監視者が巫女にアニムス用エネルギーを供給(1回目)
 5. 供給されたエネルギーを用いて巫女がアニムスを安定化
 6. アニムス起動、自分の意志を上位領域に伝達する。
 7. 伝達を受けた上位領域の監視者がアニムスにアニムス用エネルギーを供給(2回目)
 8. アニマの固有波動による観測開始、アニムスのAの力が自動で観測を抑制。
 9. 使徒たち(アニマ反応者)がウ・ドゥから供給されたエネルギーを用いて奇跡を起こす


 の段階で、巫女は監視者から直接エネルギー(波動)を受け取っている。これは観測用波動ではなくアニムス用のエネルギーだが、集合的無意識経由で届く監視者由来の波動なので、巫女と監視者、互いの心の中が無防備に晒された状態で接触することに変わりはない。
 つまりアニマ反応者でもない、ごく普通の人間だった巫女は、イエスたちが奇跡を起こすたびにまったくの無防備状態でウ・ドゥと接触し、彼がもたらす根源的な恐怖に晒されていた。それでも彼女が正気を保っていられたのは、譲渡された力、全てを秩序立てるアニムスの力が、意識の散逸を防いでいたからである。それでも度重なる接触は、巫女の心身を蝕んでいった。

 詳細は不明だが、巫女はアニムスを残し死亡している。巫女の死はアニムスに深い悔恨を植え付け、この出来事は後々までもアニムスを縛る枷となった。Ep.3終盤で復活したマリア=アニムスがヴィルヘルムの命令に当初逆らえなかったのは、彼にマリアの浅慮(力の譲渡)が巫女の死を招いたことを指摘されたからだろう。
 つまりヴィルヘルムは、自分の力が何であるのかまったく理解していなかったマリアに残酷な真実を突き付け、その上で彼女が無知ゆえに招いた世界の崩壊を、自分が阻止せざるをえなくなったことを告げ、彼女に負い目を負わせたのだと思われる(そこまで計算していたかは不明である。単にものすごく怒ってただけかもしれないし)。

アニマの分断とアニムスの崩壊 75%

 アニムスの意識と力は、AD40年代に集合的無意識内に四散した。アニムスと対であるアニマを12分割したことで、アニムス自身も分断されてしまったのである。これだけならば対のアニムスも12分割されただけで済んだはずだが、アニムスが不完全だったのと(巫女がいたが彼女は人間だったうえに瀕死だった)、アニマの分断はアニマのエントロピーを増大させることであり、アニムスの本質「エントロピー減少」とは真逆の行為であったため、アニムスの意識と力には多大な負荷がかかった。そのためアニムスの意識と力は分断どころか崩壊してしまい、それ以降、下位領域はアニムスが不在となる。

 アニムスがアニマを分断したのには理由があった。上級アニマ反応者がフェイルセイフ発動レベルの強い意志(宇宙崩壊レベルの観測行為を誘発するような激烈な意志や感情の爆発)を持ち、アニマが上位領域に宇宙の崩壊が確定したことを報告しようとしたからだ。

 本来、アニムスは宇宙の崩壊を回避するためのシステムである。このときアニムスが正常に機能していれば、アニマと連動して下位領域を消去する機能を発動させたはずだ。しかしアニムスは巫女に力の一部を譲渡していたため正常に作動せず(バグ発生)、アニマの分断という、アニムスの存在意義=宇宙集合体の保護とは正反対の行動を取った。
 アニムスの意識と力はほぼ同一のものだったので、力を分割したことでアニムスの動態を決定していた意識(目的の達成を最優先事項とするよう指示したプログラムのようなもの)も変化していた。その結果、宇宙集合体ではなく巫女を守るための行動をアニムスは選択した。宇宙が消去されると、永遠に共にいたいと願った愛しい巫女が消えてしまうからだ。

 自分たちの安易な行動が世界を崩壊に導いてしまったことへの後悔であるとか、フェイルセイフ回避に至った理由は他にも色々とあっただろうが、それらの感情をもたらしたのは、やはり力の譲渡によるアニムスの意識の変容だろう。

アニムス(マリア)の復活 / Xenosaga

マリアの器 "KOS-MOS" 0%

 KOS-MOSはマリアを復活させるために様々な機能を搭載したアンドロイドとして、ヴィルヘルムやケビンらによって製作された。なぜマリアの復活が必要だったかというと、永劫回帰を実行するためである。
 彼らは当初、KOS-MOSをマリア復活の器とする予定だった。しかしKOS-MOSの中で目覚めつつあるマリアの意識に変容の兆候を認めたため、KOS-MOSでは本来のマリアの復活が望めない、つまり永劫回帰を達成できないと判断し、T-elosという新たな意識の器を用いたマリアの復活を試みることになった。

 マリアが完全に復活するのは物語の終盤だが、それ以前にも計4回、マリアの意識は一時的に目覚めている。

1. Ep.1 グノーシス吸収時
2. Ep.1 エルザ大気圏突入時
3. Ep.2 ディナ初回合体時
4. Ep.3 T-elosによる破壊後のシオン絶叫時(旧ミルチアへの転移時)

一時的な復活 5%

 上記1〜4に共通しているのは、シオンが危機に陥っているということである(描写がないだけで、ヴォークリンデにおける起動時や、過去のミルチアにおけるヴォイジャー襲撃時にも変化していたのかもしれない)。
 シオンはヴィルヘルムらによって復活させられた巫女、つまり彼女の意識はマリアが愛した巫女の意識そのものなので(マリアに譲渡された力も含む)、KOS-MOSの中に眠るマリアの意識が危機に陥ったシオンの意識と共鳴し、彼女を守るために一時的に覚醒してアニムスの力を行使したのである。

 原理は不明だが、こうした覚醒を繰り返すことでマリアの意識=アニムスの力は徐々に覚醒していくらしい。何度も目覚ましが鳴ってようやく起きるようなものだろうか。
 とにかく、マリアの復活を望む者たちは、シオンとKOS-MOSを一緒に行動させた上で意図的にシオンを危機に陥らせ、マリアの覚醒を促した。そしてこれらの過程を経て、KOS-MOSに固着されたマリアの意識は、完全に覚醒するに至ったのである。

完全なる復活 10%

 1〜4と少しずつ完全な覚醒へと近付いていたマリアの意識は、ミクタムの地下遺跡でようやく目覚める。そこはかつてマリアが人間として存在していた頃、深い後悔と共に封印した場所だった。マリアの半身であった巫女が、その先に眠る神の遺物、ツァラトゥストラの前で命を落としたのである。
 巫女の生まれ変わりであるシオンは、ネピリムとケイオスに導かれてKOS-MOSの意識の最深部、深層領域へと足を踏み入れる。そこはマリアとして呼ばれていた頃のアニムスの意識が、変容しつつもほぼそのままの形で残されていた場所でもあった(まだKOS-MOSの意識とは融合していない)。そこで過去を垣間見たシオンは、巫女であった頃の記憶こそないものの(あれはシオンの巫女としての記憶らしいが、彼女はそれに気付いていない)KOS-MOSの深層領域で眠るマリアの意識と深く共鳴し、彼女を目覚めさせた。そしてアニムスが完全に起動したことで、ツァラトゥストラも本来の機能を取り戻した。

 KOS-MOSの中で目覚めた意識は、古代ロストエルサレム時代に生きていたマリアそのものの意識ではなかった。マリアの記憶を受け継いではいたが、KOS-MOSとしてシオンの傍で過ごした日々は、確実にマリアを変えていたのである。これは別人になったのではなく、6000年前のマリアと、6000年+回収・統合されてからの年月を過ごしたマリアの違いであり、同じ人物でも月日と共に意識は変容していく、つまり人の心は常に変わっていくために生じた変化であった*。深い眠りについてはいても、マリアの意識はKOS-MOSの中で様々な経験をし、シオンと共に喜びや悲しみを感じていたのだ。
*同じ人物でも、二十才の頃と四十才の頃とでは、大事なものや考え方などが変わるということ。そんなの当たり前だと思うのだが、ケビンやヴィルヘルムはそれを考慮していなかった。ヴィルヘルムは人間じゃないから分からなかった可能性はある。なにしろ6000年以上も永劫回帰を成功させることだけを考え続けた「歪みねぇ」お方だからだ。じゃあケビンはというと、天才すぎて一般人の思考が理解できなかったのかもしれない。自分が一途だから他のみんなも一途で当然でしょ!みたいな。

 新たなマリアとして目覚めた意識は、KOS-MOSの瞳を青く変えた。そしてマリアの亡骸であるT-elosを倒し、本来の肉体との統合を果たしたKOS-MOSは、マリア=アニムスとして完全なる復活を遂げたのだった。
 そしてついに、変容したマリアの意識は、KOS-MOSの意識と融合する。上位領域的存在であるマリアの意識と、下位領域的存在であるKOS-MOSの意識との融合。アニムスであってアニムスでない意識。これまで集合的無意識に存在したことのない、未知の意識の誕生。意識の進化とでもいうべき現象が起きたのである。

ネピリムへの力の譲渡 95%

 ツァラトゥストラの暴走を止めるため、マリアとKOS-MOSの融合した意識、略称マリモス(フォレスト氏の解説動画より拝借)の意識は、自らの力をネピリムに託すことを決意した。だがアニムスの力の一部はシオンが持ったままなので、ネピリムはアニムスとしては不完全な状態である。
 ネピリムが全ての意識を導くことができなかったのは、ネピリムがアニムスの力の器として未熟だった可能性ももちろんあるが、アニムスとしての力が不完全であったためと考えられる。本来のアニムスならば、全力を出せば自発的散逸由来グノーシスの抵抗などものともせず、力で強引にねじ伏せられるからだ。

 どちらにせよ正直シオンが協力しさえすれば無問題だが、ことはそんなに単純ではなく、彼女の意識は度重なるウ・ドゥとの接触ですでにズタボロとなっており、とてもそれどころではなかったのと、巫女だった頃の記憶がほとんど戻っておらず力の使い方が分からなかったのと、あとマリアとの間にあった強い縁がネピリムとの間にはさほどなかったり、上級アニマ反応者でもないごく普通の人間だった等、これは無理だろ的な事情がいっぱいあったのでできなかった。