概要 0%
実数領域で生きていた人間や生物が死亡したり、物質が壊れたりすると、それらに対応していた意識は集合的無意識内で個を保てなくなり、集合的無意識に合一する。
だが中には、集合的無意識への合一を拒む意識もある。このような意識が作中に登場する「グノーシス」となる。
"Xenogears"および"Xenosaga"の超個人的見解入りまくり二次創作的考察
Xenosaga
世界観
上位領域と下位領域
ゾハル(扉)
下位領域の監視と管理
虚数領域と実数領域
集合的無意識とU.M.N.
散逸する意識とグノーシス
グノーシス遭遇事故
事象変移
事象変移で見られる現象
事象変移補足
グノーシスとの接触
レアリエンとグノーシス
グノーシスの分類他
グノーシスとゾハル
宇宙の崩壊
アニマとアニムスおよび
宇宙保護システム
アニマ総論
アニマの覚醒
アニマの反応者
散逸の力
アニムス総論
アニムスの覚醒
マリアと巫女
アニムス(マリア)の復活
実数領域で生きていた人間や生物が死亡したり、物質が壊れたりすると、それらに対応していた意識は集合的無意識内で個を保てなくなり、集合的無意識に合一する。
だが中には、集合的無意識への合一を拒む意識もある。このような意識が作中に登場する「グノーシス」となる。
集合的無意識は、すべての意識が剥き出しの状態で接しているという特性を持つ。だが無機物やバクテリアと違い、複雑な思考や感情を持った知的生命体の意識は、意識が剥き出しになった状態で他者と接するのを本能的に恐れる場合がある。人に知られたくない本音がある、他人からの憎悪や嫉妬といった攻撃的な感情に晒されたくない等、その理由は様々で、こうした意識のほとんどは高度な精神活動を行っている人間の意識である。
なんらかの切っ掛けで集合的無意識の持つ特性に気付いてしまった意識(既に集合的無意識に合一している意識や、死後に合一しようとしている意識も含む)は、意識が剥き出しの状態を強く恐れ、本能的、受動的(逃避的)に集合的無意識を拒絶する。
集合的無意識は次元宇宙の屋台骨であるため、これを拒絶することは、自分が存在する世界そのものを拒絶することでもある。世界を拒絶した意識は大多数が消滅するが、一部の意識は、自我を持たないまま世界を拒絶し続ける「(世界から)散逸する意識」「(世界の)散逸を望む意識」となる。つまり複雑な感情を捨て、拒絶の意志のみを持った意識に変化し、単一の意志しか持たないので意識波動の波形もシンプルになる。
まだ生きているうちに集合的無意識の存在と特性に気付いてしまった人間の意識も同様で、恐怖に耐え切れず消滅するか(実数領域では白化現象を起こし死亡する)、強い拒絶の意志を抱き散逸する意識となる(実数領域では消失現象を経てグノーシスになる)。これらの現象については事象変移の項で詳しく述べる。
人の意識が集合的無意識を拒絶するに至る原因は他にもある。だが原因がなんであれ、集合的無意識(世界)を否定し、拒み、その結果消滅したり、散逸する意識へと変容する点は変わらない。
こうした意識は、次元宇宙誕生から時間が経つほど増えていく。時間の経過と共に宇宙の生態系が進化し、高度な精神活動を行う知的生命体の種類や数が増えていくからである。
散逸する意識たちは集合的無意識を拒絶するので、集合的無意識に存在できなくなる。つまり散逸する意識となった瞬間に、集合的無意識から弾き出される(あるいは逃げ出す)のである。集合的無意識の解説で用いたたとえでいうと、虚数領域の最外殻(柔らかい容れ物と、少しだけしぼんだ風船の間にできた隙間)に漂うこととなる。この時点ではまだ虚数領域内に存在している。
こうした意識は起動したゾハル(エミュレータも含む)に対し正の走性を有しており(後述)、ゾハルの起動を感知すると遊走を開始する。ゾハルは両領域にまたがって存在しているが、これは実数領域に存在していながら虚数領域と接しているという意味で、つまりゾハル本体は実数領域に存在している。そのため散逸した意識たちは虚数領域から実数領域へと移動し、この時点で初めて散逸した意識が人間の目に見えるようになる。これが劇中に登場する「グノーシス」である*。
*散逸する意識とグノーシスは同じものだが、本稿では混乱を避けるため、できるだけ虚数領域に存在するものを「散逸する意識」または「散逸した意識」、散逸した意識が実数領域に移動するなどして人間が知覚可能な形態となったものを「グノーシス」と記載するようにしている。また「散逸する意識」「散逸した意識」等、名詞として用いている場合も多い。
虚数領域は実数領域と隣り合わせて存在しているが、人の目でそれを知覚することはできない。そのため、虚数領域から散逸する意識が逸脱してくると、そこに居合わせた人々の目には「目の前にいきなりグノーシスが現れた!」ように映る。
グノーシスがいきなり出現することを、作中では「グノーシス出現事故」や「グノーシス遭遇事故」と呼んでいる。ゲームの主な舞台であるTC4766年は「最近グノーシス遭遇事故が多発している」ようだが、これは集合的無意識から散逸し、かつ実数領域へと移動する意識が、加速度的に増えていることを意味している。原因はもちろん監視者のウ・ドゥ(とヴィルヘルム)である(後述)。
虚数領域に漂う散逸した意識たちは、ゾハル起動を感知すると同時に実数領域へと飛び出していくのだが、その際必ずしもゾハルの近くに出現できるとは限らない。たとえばボストンでゾハルが起動すると、ドバイにグノーシスが出現することがある。つまり起動したゾハルの場所とグノーシスの出現箇所に、さほど強い距離的な因果関係は見られない(ゾハルの暴走で起きる事象変移を除く)。
これは虚数領域が持つ「距離的・空間的概念がない」という特性による。虚数領域では、実数領域における位置や距離という概念が反映されないのだ。人々がU.M.N.というアクセス手段を介さなければ虚数領域を利用できない理由もこれである。
しかしながらグノーシスは、ハイパースペースを利用してゲートジャンプを行う能力を持っているので、起動したゾハルから遠く離れていた場合は、積極的にゲートジャンプを活用する。ただジャンプ中にゾハルが起動停止するなどして見失うと、その場でジャンプを中止し付近を漂うことになる。
宇宙船のゲートジャンプと異なり、グノーシスのゲートジャンプは転移コラムを介さずに行われる。意識波動の一種であるグノーシスは実体を持たないため、U.M.N.を含む虚数領域(ただし集合的無意識を除く)と実数領域の間を自由に行き来できるからである。
だが大半のグノーシスの走性はゾハルに依存するため、領域間をゾハルの関与なく自発的に移動することはない*。
*ごく僅かだが、ゾハルを目指さないグノーシスもいる。またEp.1でジャンプ中のエルザが聖堂船型グノーシスに引き寄せられる形でハイパースペースから飛び出したのは、おそらくアンドリューが原因である。半ばグノーシスと化していたアンドリューが、聖堂船内のゾハルエミュレータを感知し、そこに向かい遊走した結果、エルザは途中下車させられた。アンドリューのグノーシス化に気付いていたネピリムは、わざわざ実数領域に出向いて途中下車の可能性をシオンに伝えたが、あまりにも言葉が足りなかったため、シオンは理解できなかった。(あるいはネピリムが途中下車させた可能性も、ほんの少しだがある)
転移コラムを介さないグノーシスのゲートジャンプは、グノーシス遭遇事故の一因となる。グノーシスがジャンプを終えてハイパースペースから飛び出すと、そこに居合わせた人々の目には「目の前にいきなりグノーシスが現れた!」ように映るからである。
また前項で述べたような、ジャンプ中にゾハルを見失ったはぐれグノーシスは、はぐれて漂っているうちにハイパースペースから本物の実数領域に飛び出すことがあり、これもグノーシス遭遇事故の一因となる。
散逸する意識とは別に、能動的に集合的無意識を拒絶する意識もある。非常に強い意志を持つ意識がこれに当たり、彼らは拒絶の意志を持たずに集合的無意識を拒絶する。拒絶するというより、自我が強すぎて集合的無意識に合一できないのだ。周囲にいっぱい人がいて、拒んでも拒まれてもいないのに、触れ合うことができない。そう考えると、グノーシス以上に孤独な意識なのかもしれない。
こうした意識は集合的無意識に溶け込めないだけで、拒絶の意志を持っているわけではない。つまり散逸する意識とは根本から異なる意識なのだ。もとから集合的無意識に溶け込んでいないのでこれを拒絶することはないし、ゾハルの起動を感知して虚数領域を抜け出すことも当然ない。つまり、決してグノーシスにはならない。
また溶け込んでいないといっても、先述のラーメンのスープに浮かぶ油滴のようなものなので、これらの意識も集合的無意識を構成する要素のひとつである。
このような意識を持つ人間はごく僅かで、彼らは死後も集合的無意識内で自我をはっきりと保ち続けることが可能である。つまり前世の記憶を持った人間か、それに近い高度な精神活動を行う生命体として生まれ変わる可能性がある。おそらく前世の記憶を持った段ボール箱とかにはならない…はずだ(後述)。
また、このような意識を持った人間は「アニマ反応者」や「テスタメントの適性(因子)を持つ者」とも呼ばれる。ちなみにシオンはヴォークリンデでグノーシス化しかけたので、アニマ反応者ではない。
以上より、虚数領域内には三種類の意識が存在しているといえる。
1. 集合的無意識(生きている人間や物質、死んだ人間や物質の意識が集まったもの)
2. 集合的無意識を拒絶して逸脱し、虚数領域内を漂う意識(散逸する意識)
(ゾハルの起動を感知すると実数領域に移動し、グノーシスとなる)
3. 集合的無意識内で自我を保ち、独立している意識(強い意志を持った意識)
集合的無意識は、このうち1と3で構成されている。またこれらとは別枠でアニマの力と意識、アニムスの力と意識、ヴィルヘルムの力と意識も存在する。
グノーシスが人間の前にいきなり出現することを、作中では「グノーシス遭遇事故」と呼んでいる。これは発生状況に応じて、以下の3種類に分類される。グノーシス遭遇事故については「集合的無意識からの逸脱」でも触れている。
普通の意識が散逸する意識になると、拒絶の意志を持った瞬間、つまり散逸する意識となった瞬間に集合的無意識を逸脱する。散逸する意識はゾハルの起動を感知して実数領域へと移動するが、そこにたまたま人間が居合わせると「目の前にいきなりグノーシスが現れた!」となる。実数領域はとても広いため、あまり起きない。実数領域に出現してフラフラしているグノーシスや、転移コラムを介さないゲートジャンプから離脱したグノーシスとの遭遇も、これに含まれる。
U.M.N.を利用したゲートジャンプ(空間跳躍)時や、U.M.N.に構築された仮想空間、エンセフェロンやフォービドゥンデバイスへのダイブ中に、グノーシスと遭遇することがある。
ゲートジャンプ時における遭遇
ゲートジャンプに用いられるハイパースペースは、U.M.N.内を人間が移動できるよう、集合的無意識内に創られたチューブ状の実数領域である。作中世界には無くてはならない交通インフラだが、ここは通常の実数領域よりもグノーシスの生息?密度が高い危険地帯でもある。
起動したゾハルを目指すグノーシスの中には、ゲートジャンプを利用する者もいる。またゾハル起動時には、既に散逸していた意識や、集合的無意識から散逸したばかりの意識が、直接このチューブ状の実数領域に逸脱してくることも多い。だがゾハルが起動停止すると、ジャンプ中のグノーシスや逸脱したばかりのグノーシスは目指す場所を見失い、その場に留まってしまうのだ。
ハイパースペース内には、こうした「取り残されたグノーシス」たちがひしめいているため、必然的に遭遇率は高くなる。
これは北海道の山岳地帯(虚数領域)を貫く登山道(実数領域)を歩いていた登山者(宇宙船)が、路上をうろついていた、あるいは突然飛び出してきたヒグマ(グノーシス)に襲われるようなものと考えるとわかりやすい。グノーシスであれヒグマであれ、人間が一方的に被害を被るのは同じである。
当然だが都市部や市街地よりも、北海道の山岳地帯のほうがヒグマとの遭遇率は高くなる(最近はそうでもないが…自然破壊はよくない)。この場合、都市部や市街地は実数領域、山岳地帯はU.M.N.(ハイパースペース)に該当する。実数領域(市街地)におけるグノーシス(ヒグマ)との遭遇も「グノーシス遭遇事故」だが、U.M.N.内でのそれに比べ発生件数はごく僅かである*。
*MYによると、星団全体のグノーシス遭遇事故の41%がU.M.N.内で起きている。
仮想空間における遭遇
仮想空間の場合は少々異なり、実数領域での直接遭遇は起こらない。集合的無意識内に構築された仮想空間へのダイブはU.M.N.を介して行われるが、U.M.N.は集合的無意識(虚数領域ではないことに注意)に直接アクセスするため、虚数領域の最外殻に構築されたネットワークである。そして虚数領域の最外殻には、集合的無意識を拒絶した意識たち=散逸した意識(まだ実数領域に移動していない)が漂っている。そのためU.M.N.を介して集合的無意識(仮想空間)にダイブ中の人間の意識が、散逸した意識と鉢合わせる危険があるのだ。
北海道在住の皆様には大変申し訳ないが、これも北海道の山奥にあるリゾート施設(仮想空間)に行くため山中(虚数領域の最外殻)を貫く道路(ダイブ経路)を移動中の観光客(ダイブ体験者)が、ヒグマ(グノーシス)と鉢合わせるようなものである。
人間はU.M.N.内のデータを五感に置き換えることで仮想空間を体験するので(感覚器である目を通さず、脳に直接電気刺激を与えるようなもの)、散逸する意識は脳に直接与えられた情報を通じ、目に見える存在「グノーシス」として知覚される。これもグノーシス遭遇事故扱いされる。
仮想空間を経由した実数領域での遭遇
また仮想空間へのダイブは、空間内におけるグノーシス遭遇事故だけでなく、実数領域へのグノーシス出現をも招くことがある。MYの解説では、実数空間へのグノーシス出現のほとんどがU.M.N.経由での仮想空間ダイブであるとされている。作中の世界では仮想空間が日常的に利用されているので、必然的に事故も多くなるのだろう。
仮想空間へのダイブはU.M.N.を介して行われるが、仮想空間が構築されているのは集合的無意識、つまり散逸する意識が存在できない場所である。また、ダイブ体験者の意識は集合的無意識内に存在している(合一はしていない)。
集合的無意識を構成する体験者の意識によって、集合的無意識の中に作られた仮想空間から認識されるということは、散逸する意識にとって、集合的無意識と関わりを持たされるということでもある(DV夫から必死で逃げた妻が、事情を知らない第三者に復縁を勧められるようなもん)。感覚器による肉体的な知覚ではなく、意識波動そのものによる知覚の場合、それは波動同士の接触を意味するからだ。
しかし前述のように、散逸する意識は集合的無意識に対し強い拒絶の意志を持っているので、体験者による知覚を拒もうとする。その結果、体験者を攻撃したり(作中におけるエンセフェロン内でのゲーム戦闘)、さらなる逃避を求めて集合的無意識の存在しない実数領域へと逸脱していく。
ゾハル起動時の逸脱と異なり、物理的(実数領域的)ネットワークを介した逸脱であるため、グノーシスは接続元に出現することとなる。これが仮想空間体験時に発生する、実数領域でのグノーシス遭遇事故である。
事象変移は「物質」と「意識」の実数・虚数領域間の入れ替わり現象と定義され、そのため作中では領域シフト*と呼ばれることもある。
原因となるのはレメゲトン(後述)の暴走→ウ・ドゥの暴走(大規模な観測行為)→ゾハルやゾハルエミュレータの暴走=上位領域からの過剰なエネルギー流入で、様々な超常現象を引き起こし、人間社会に絶大な被害をもたらす。
事象変移の一過程である大規模な観測行為は、大量の散逸する意識を生むので、膨大な意識が集合的無意識から逸脱してしまう。また事象変移が起きたときはゾハルも起動しているので、逸脱した意識たちはそのままゾハルめがけて実数領域へとなだれ込む。その結果、実数領域では大量のグノーシスが発生する。
事象変移については、次項で詳しく解説する。
*作中では領域シフトという言葉を「事象変移」と「実数領域内に限局した空間転移」の二つの意味で使っている。後者はEp.3ラストでミクタム宙域ごと太陽系圏に移動する際に用いられた。
事象変移とは、先にも述べた通り「物質」と「意識」の実数・虚数領域間の入れ替わり現象を指す。ただしこれは事象変移の定義であり、作中一般社会における事象変移は、ゾハルの暴走が様々な超常現象を引き起こす激甚災害として認識されている。
事象変移はゾハル(またはエミュレータ)なくしては発生せず、またゾハル(またはエミュレータ)が起動しなければ、事象変移は起こらない。
ちなみにゾハルの暴走という表現は、厳密には正しくない。ゾハルは作中で古代ロストエルサレム時代も含め、一度も故障やトラブルを起こしていないのだ。暴走したように見えるのは、ゾハルを利用する上位領域の監視者や人間がおかしな使い方をしているからである。つまりゾハルに罪はない。
そもそもゾハルはただのトンネル(一方通行制限付き)なので、故障のしようがない。崩れることはあるかもしれないが…。
事象変移が起きたときも、ゾハルは正常に起動し、作動している。起動したゾハルを通じて行われる観測行為の規模が桁外れに大きいだけで、ゾハルそのものは暴走していない。桁外れの規模の観測行為が桁外れの規模のエネルギーの流入現象を招いたので、人間は「ゾハルが暴走した!」と誤解したのである。
事象変移の原因はレメゲトン(後述)の暴走、ウ・ドゥの暴走(大規模な観測行為)、ゾハルやゾハルエミュレータの暴走(厳密には暴走していない)、上位領域からの過剰なエネルギー流入である。これらはすべて同一現象のそれぞれ一過程を表したもので、つまり色々言われているが原因は同じである。
レメゲトンが暴走する or 凄まじく強い意志の伝達が発生する
↓
ウ・ドゥが暴走する=大規模な観測行為が起きる
↓
ゾハルやエミュレーターが暴走する=膨大なエネルギーが流入する
物理法則が異なる上位領域のエネルギーが過剰に流入すると、下位領域の物理法則は秩序を失う(人間が構築した複雑なインフラが、大規模自然災害で一瞬のうちに麻痺するようなもん)。その結果、実数領域と虚数領域との境界が曖昧になり、物質(肉体)と意識が入れ替わってしまう。
だがこれは意志を持たない無機物や、高度な精神活動を行わない植物やバクテリア等(意識波動の波形が極めて単純なもの)の場合に限られ、人間といった知的生命体に起きる入れ替わり現象は、様々な理由で意識が散逸することで引き起こされる。
つまり実数・虚数領域間の入れ替わり現象である事象変移では、二種類の入れ替わりが起きている。
事象変移:
過剰な観測行為と、それに伴う膨大なエネルギーの流入によって発生する入れ替わり現象の総称
1. 無機物などに起きる入れ替わり現象:流入したエネルギーによって起きる
2. 人間などに起きる入れ替わり現象:観測行為によって意識が散逸することで起きる
作中における事象変移は、大量に発生したグノーシスが人を次々と襲う、いきなり人が消えたり塩の塊やグノーシスになるといった描写がされており、事象変移が大量のグノーシス=大量の散逸する意識を発生させる現象であることがわかる。
意識は拒絶の意志を持たなければ集合的無意識から逸脱しない。だが監視者が大規模な観測を行うと、膨大な数の普通の意識が拒絶の意志を持ってしまい(詳細は後述)、散逸する意識となって集合的無意識から逸脱する。そして起動したゾハルを目指し、一斉に実数領域へとなだれ込む。これがグノーシス大量発生のメカニズムである。
1.のように、エネルギーそのものによる入れ替わりを来した意識、つまり無機物や高度な精神活動を行わない生命体の意識は、拒絶の意志を持って集合的無意識から逸脱したわけではないので、散逸した意識にはならない。ゆえに入れ替わり現象により実数領域に移動しても、グノーシスにはならない。
これらの意識は、おそらく実数領域では音や光、電波といった、実数領域的波動の形態を取っていると思われる(集合的無意識内の意識は、波動のような状態で存在しているため。 参考)。
事象変移は、作中世界における一般社会で「様々な超常現象を引き起こす激甚災害」として認識されている。事象変移で起きる超常現象は以下の四つで、これらのうち1と4、および3の一部が、虚数領域と実数領域間の入れ替わり現象に起因する。
1. 消失現象(人間を含めたあらゆるものが突然消える)
2. 白化現象(高度な精神活動を行う生命体の結晶化)
3. グノーシスの大量発生(同時多発グノーシス遭遇事故)
4. グノーシス現象(人間などのグノーシス化やグノーシスとの融合)
それぞれについて、次の項で解説する。