事象変移で見られる現象 / Xenosaga
1. 消失現象 30%
事象変移では様々な理由で物質(肉体)と意識が一瞬のうちに入れ替わるので、人々の目には物質(肉体)がいきなり消失したように見える。これが消失現象である。
無機物などに起きる入れ替わり現象では、実数領域の物質そのものが虚数領域の意識と入れ替わってしまうため、それまで実数領域で知覚されていた物質は消える。かわりに実数領域には物質の意識が移動してくるが、これは人間の目に映らないか、映ったとしても光や音といった元の物質とは著しく異なる形状をしているので、同一のものとは認識できない。
また意識が実数領域へと移動するとき、必ずしも元の物質が存在していた場所に出現するとは限らない。概ねはほぼ同じ場所に出現するが、遠く離れた場所に出現することもある。
人間などに起きる入れ替わり現象は、観測行為によって集合的無意識内の意識が散逸させられ、その散逸した意識がゾハルを求めて実数領域に移動することで発生する。虚数実数を問わず、ひとつの領域に意識と物質が同時に存在することはできないため、それまで実数領域に存在していた肉体は、散逸し実数領域に移動してきた意識と入れ替わる形で、虚数領域に取り込まれる。その結果、ひとりの消失現象が起きると同時にグノーシスが一体出現する。つまり人間などの消失現象とグノーシスの出現は、かならずセットで起きるのである。無機物などの場合と同様、グノーシスは概ね人間が消えたのとほぼ同じ場所に出現するが、遠く離れた場所に出現することもある。
この消失現象+グノーシス出現が緩徐に進行した場合は、後述する「グノーシス現象」の一種として人間の目に知覚される。
2. 白化現象 40%
白化現象とは、高度な精神活動を行う生命体(主に人間)が塩化ナトリウムの結晶体に変化してしまう現象である。部分的な白化は可逆性変化だが、完全に白化してしまうと不可逆性となり元には戻らないため、完全な白化は死と同義である。また岩塩のような巨大結晶ではなく、塩を固めたオブジェのような状態となるので、形が崩れやすい。
先にも述べたが、事象変移を引き起こす大規模な観測行為は、強制的に集合的無意識内の意識を散逸させる。だが実際に散逸する意識となるのは少数派である。生命体の意識波動は観測行為で用いられる観測用波動よりもはるかに微弱なので、観測用波動に暴露した瞬間ほとんどが消滅してしまうからだ。意識が瞬殺された場合は白化現象も一瞬で終わるが、消滅までに時間がかかる、つまり意識が徐々に崩壊していった場合、白化現象はじわじわと進む。完全な白化までにかかる時間は、観測用波動の強さと対象の意識波動の強さ=意志の強さによって変化する。
意識波動が消滅すると、対応する意識を失った肉体の生命活動は当然ながら停止する。だが本来ならば、肉体の生命活動が停止することで死を迎え、個を保てなくなった意識が集合的無意識へと合一していくのが、下位領域における正しい死のプロセスである。肉体の死に先立つ意識波動の消滅は、自然の摂理に逆らう異常な死なのだ。
摂理を逸脱した死は、摂理とはかけ離れた現象を引き起こす。それが肉体の白化という超常現象である。
3. グノーシスの大量発生(同時多発グノーシス遭遇事故) 15%
事象変移は大量のグノーシスを発生させるが、このとき発生するグノーシスは二種類に大別される。以下にその理由や発生機序を含めて解説する。
事象変移で発生するグノーシス
1. 事象変移を起こした大規模な観測行為で発生したもの(新生グノーシス)
2. 事象変移が起きる前から存在していたもの(既存グノーシス)
1. 新生グノーシス
それまで集合的無意識を構成していた意識が(生死は問わない)、大規模な観測行為により強制的に散逸させられることで誕生するグノーシス。大規模な観測行為とは、ゾハルから強力な観測用波動が発せられることであり、この観測用波動に暴露するとほとんどの意識は消滅してしまう。だが中には消滅を免れ、集合的無意識から散逸していく意識もある。こうした意識がゾハルに向かって遊走し、グノーシスとなるのである。
新生グノーシスには以下の二種がある。
A. 生きている人間の意識が散逸:消失現象+グノーシス出現とグノーシス現象
B. 既に死亡した者の意識が散逸:グノーシス出現(消失現象は伴わない)
2. 既存グノーシス
既に散逸していた意識や、グノーシスとして実数領域に存在していた意識が、起動したゾハルに大集合したもの。以下の二種がある。
A. 散逸しただけで実数領域に移動していない意識
B. 散逸後にゾハルの起動を一度以上経験している意識
A. 散逸しただけで実数領域に移動していない意識:
事象変移発生の時点で、虚数領域の最外殻に「散逸する意識」として存在している意識のこと。過去の小規模観測行為などによって既に散逸していた意識が、ゾハルの起動を感知して実数領域へと遊走し、グノーシスとなる。
B. 散逸後にゾハルの起動を一度以上経験している意識:
事象変移発生の時点で、実数領域にグノーシスとして存在している意識のこと。過去にゾハルの起動を感知するなどして、既に実数領域に移動していた意識が該当する。
起動したゾハルに向けて遊走中のグノーシスが何らかの理由で目標を見失うと、その場で移動を停止し実数領域を彷徨うことになる。このようなはぐれグノーシスはゾハル起動と同時に遊走を開始するので、現場周域には実数領域中のグノーシスが集まってくる。
4. グノーシス現象(グノーシス化) 5%
グノーシス現象とは、人間や物質が突然グノーシスへと変化してしまう恐ろしい現象である。グノーシス化ともいわれ、肉体(物質)と対応している意識がゆっくりと散逸していくことで発生する。事象変移時以外でも起きることがあり、とくに作中TC4766年の時点では、平時のグノーシス現象が多発している。
意識の緩徐な散逸が起きる原因は二つあり、ひとつは上記グノーシスの大量発生の項1-A「観測用波動の暴露」とまったく同じ機序によるもの、もうひとつはグノーシスとの接触である。
グノーシス現象によって生まれたグノーシスを、グノーシス変容体と呼ぶ。グノーシス変容体には人間のグノーシス化で誕生したものと、人間とグノーシスの融合現象によって誕生したものがある。作中や攻略本では明記されていないが、本稿ではグノーシス現象に「人間とグノーシスの融合現象」を加えて解説する。
グノーシス現象:グノーシス変容体を生じる現象
1. 人間や物質のグノーシス化(観測用波動の暴露およびグノーシスとの接触で発生)
2. 人間や物質とグノーシスとの融合体形成(グノーシスとの接触で発生)
4-1. 観測用波動への暴露による散逸 30%
生きている者=肉体(物質)と対応している意識は、独立してはいるものの集合的無意識に存在している。これが観測行為=観測用波動に曝されると、ほとんどは消滅するが、一部の意識は強制的に強い拒絶の意志のみを持つ意識、つまり散逸する意識へと変化させられ、集合的無意識から逸脱してしまう。これは複雑な精神活動を行っていた意識波動の変化に富む波形が、拒絶の意志のみを持つ単調な波形になったということでもある。
生命体の意識波動は、事象変移時の観測用波動よりもはるかに微弱であるから、波形の変化は瞬時に完了する(消失現象+グノーシス出現)か、意識波動自体が瞬殺されてしまう(白化現象)。だが比較的強い意識波動ならば、どちらの場合も変化は緩徐に進行する。
意識波動の強さは意志の強さに比例するので、緩徐な変化を来す生命体は強い意志(アニマ反応者ほどではない)を持っていることになるが、そのような存在は少ないため、事象変移ではあまりみられない。
意識波動の緩徐な散逸のプロセスを、以下に解説する。
0. 該当者がじわじわ恐怖に冒され始め、じわじわ拒絶の意志を持つ。
1. じわじわ拒絶の意志を持つことで、意識波動の波形がじわじわ変化していく。
2. 波形が変化した部分からじわじわと集合的無意識を逸脱していく
3. 逸脱した部分からじわじわと実数領域に移動していく(ゾハルを目指す)
4. 意識の移動に伴い入れ替わり現象がじわじわ発生、肉体(物質)が虚数領域へと
じわじわ取り込まれていくので、実数領域では消失現象がじわじわ進む。
5. 消失した部分からグノーシスにじわじわ置き換わり始める
(人間の身体とグノーシスとが混在した外見をとる)
6. 該当者が完全に拒絶の意志を持つ
7. 意識波動が散逸する意識となり、完全に集合的無意識から逸脱する。
8. 肉体(物質)が完全に虚数領域へと引き込まれ、消失する。
9. 散逸する意識が実数領域への移動を終え、グノーシス化完了。※ 6〜9は同時に起きる
これは消失現象+グノーシス出現とまったく同じで、単に「ゆっくり進むからその変化を肉眼で捉えられる」というだけの違いである。また2から4にかけては、該当者の意識は散逸した部分も含め、集合的無意識から虚数領域の最外殻を経て、実数領域にまたがって存在している。
作中における例としては、シオンの下半身が白化したり、アンドリューの手が消えていく描写が挙げられる。このとき彼らの意識波動は消失(シオン)や散逸(アンドリュー)をしかけたが、シオンはすぐ元に戻ってその後未発症、アンドリューは部分的散逸=部分的消失の寛解と再燃を繰り返しながら、最終的にはグノーシス化に至った。シオンは例外中の例外なので置いておくとして、通常はアンドリューのように、ひとたび意識が散逸し始めると、費やす時間に差は出るものの確実にグノーシス化する。
実際の例
部分的消失現象の寛解と再燃のメカニズムを、アンドリューを例にとって説明する。
彼の意識が部分的散逸=部分的な肉体の消失を起こすのは、主に過去の記憶に苛まれたときである。社会や信頼していた妻に徹底的に拒絶された経験は、アンドリューの意識に孤立への恐怖を刻み込んだ。恐怖は誰もが持っている「主に記憶や経験に由来する感情」で、これはアンドリューが特別なのではない。
Ep.1序盤でアンドリューがグノーシスと接触したとき、グノーシスが持つ恐怖(集合的無意識に対する恐怖)(この恐怖が拒絶の意志を生む)はアンドリューに伝播し、彼が持つ恐怖の記憶(意識波動の一部)と共鳴したため、彼の意識は散逸をはじめた。
かつて感じた恐怖の記憶がよみがえると意識が部分的に散逸し、部分的な消失が起きる。薬で精神を安定させると一時的にではあるが恐怖を忘れるので、散逸は止まり、散逸した意識も修復されて、虚数領域に取り込まれていた肉体は実数領域に戻ってくる。
だが一時的に忘れたとしても、アンドリューの意識波動には、グノーシスから伝播した恐怖の記憶が波形として刻まれてしまっている。この恐怖と彼がもとから持っている恐怖がふたたび共鳴すれば(恐怖の記憶がよみがえれば)、再び意識も散逸する。この繰り返しを実数領域側から見たものが、部分的消失現象の寛解と再燃である。
忘れようにも忘れられないほど強烈に過去を思い出すと、意識は完全に恐怖に支配される。そして恐怖から逃れるために強い拒絶の意志を持ち、散逸する意識となって集合体無意識を完全に逸脱する。
アンドリューは繰り返される部分的消失現象を薬で押さえ込んでいたが、聖堂船内でウ・ドゥに直接観測されたことで完全に恐怖に支配され、意識のすべてが散逸しグノーシスとなった。
4-1. 補足1 平時のグノーシス現象 ゾハルの継続的起動 55%
アンドリューの部分的消失現象において、なぜゾハルが起動していないのに散逸した意識(部分的な散逸も含む)が頻繁に実数領域へと移動したのか(消失現象=入れ替わり現象を起こしたのか)、疑問に思われた方もいるだろう。この疑問は、ゾハルの起動が観測行為そのものであることを理解すれば解決する。
ゾハルの起動とは、厳密にはゾハルから観測用波動が発せられる=上位領域からエネルギーが流入している状態を指す。つまりグノーシスはゾハルの起動ではなく、観測用波動を感知しているのである。
作中の人々はゾハルが輝き膨大なエネルギーが発生している状況を「ゾハルの起動」と呼んでいるが、実はゾハルは輝いていなくても、常に低レベルのエネルギーを発生させている。これはエミュレータも同じで、人間が気付かないだけで、ゾハルは24時間年中無休で起動しているのだ。原因はもちろんウ・ドゥというか、彼しかいない。ウ・ドゥが正規の観測行為、いわゆるアニマを介した受動的観測だけでなく、私設の観測端末を用いたイレギュラーな観測を継続して行っているため、ゾハルは常に起動しっぱなしなのである(Ep.3終盤でアベルがヴィルヘルムに封印されていた間だけは、完全に沈黙していた)。
観測用波動はウ・ドゥが対象に寄せる関心が高ければ高いほど強くなるので、観測のレベルはそのまま流入するエネルギーの量に反映される。たとえばウ・ドゥの常時観測レベル(テレビつけっぱなしで見てないようなもん)だと検出限界値以下のエネルギーしか流入しないため、人々はゾハルの起動に気付かない。だが散逸する意識たちは、その程度の観測用波動も鋭敏に感知する。その結果、事象変移や人間の目から見た「ゾハルの起動」とは無関係にグノーシスが出現したり、部分的消失現象が再発したりするのだ。
ただこの場合、グノーシスは微弱な観測用波動を手探り状態で辿っているため必然行動も控えめとなり、事象変移時のようなグノーシス大集合や大量発生は起こらない。
4-1. 補足2 縁(えん)の介在 100%
上述のとおり、観測行為は事象変移時以外、つまり平時も常に行われており、観測用波動に晒された意識の散逸も常時起きている。これが平時のグノーシス現象(グノーシスとの接触で起きるものを除く)である。ただ平時の観測行為は事象変移よりもはるかに規模が小さいため、観測用波動もさほど強くならず(それでも人間の意識波動よりはずっと強力)、グノーシス現象(一瞬で終わるグノーシス現象=消失現象+グノーシス出現も含む)の発生数もかなり少ない。
攻略本の解説では「(平時の)グノーシス現象は離れた場所でも連鎖的に発生する(連鎖的発生は観測規模の大小に関わらず発生する)」とあるが、これは集合的無意識(虚数領域)における距離(厳密には集合的無意識に距離的空間的概念はない)と実数領域のそれとが一致しないために起きる現象である。
たとえば小規模な観測が集合的無意識で行われ、その近辺に漂っていた意識波動のいくつかが緩徐な散逸を来したとき、その意識たちは実数領域でもご近所さん同士というわけではない。ある意識はフィフスエルサレムのAさん、隣の意識は第二ミルチアのBさんといった具合に、対応する肉体はかなり離れた場所に存在している場合も多い。
虚数領域的距離を規定しているのは「縁」である。膨大な数の意識波動が互いに緩く結びつき、巨大な集合体となったものが集合的無意識だが、この意識同士の結合力が「縁」なのだ。遠方住まいの親戚や若い頃に観光した奇岩など、人間は他者や様々な物質との間に、血縁や記憶などの無数の縁を持っている。機械やプログラムも、製作者や作業員などとの間に少なからぬ縁を持っている。この縁が複雑に絡まり合い、すべての意識が無数の縁を介してひとつに繋がっているのが、集合的無意識なのである。
互いの縁が強ければ強いほど集合的無意識では近くに存在しているといえ、逆に縁が薄ければ遠くなる。この虚数領域的距離は必ずしも実数領域的距離と一致せず、そのため観測行為でグノーシス現象の連鎖反応が起きるのだ。(ex. 遠距離恋愛中の恋人同士が連鎖的にグノーシス化する)
特別な意識の持ち主、いわゆるアニマ反応者は、特殊な構造の意識波動を持つため、たとえ彼らと強い縁を持つ者が観測行為の対象となったとしても、その影響は受けない。
4-2. グノーシスとの接触による散逸 95%
様々な理由で人間がグノーシスと接触すると、接触された人間の意識は、グノーシスが抱く恐怖や拒絶の意志をダイレクトに感じ取ってしまう。グノーシスは散逸する意識、つまり意識波動そのものなので、人間の意識波動と互いに影響し合うからである。人間に限らず、全ての物質は実数領域の実体と集合的無意識内の意識とが常に接しているため、物質(人間)と波動(グノーシス)の接触がそのまま虚数領域の意識に影響する。
意識の波動は物理的な波動とは異なるため、我々が知る物理的な波動と同じ動態を示すとは限らない。これを前提に以下を解説していく。
一般的には波動同士が接触すると、波動の干渉や合成が起きる。人間の意識波動と散逸する意識であるグノーシスの波動が接触した場合も、両者の間で波動の干渉や合成に類似した現象が起き、もとの波動とは異なる波形を示すようになる。二つの波動が干渉しあい、波形が変化した新たな波動が二つ生まれる場合もあれば、二つの波動が合成されてひとつの波動が生まれる場合もある。前者は人間などのグノーシス化、後者は人間や物質とグノーシスとの融合現象の原因となる。
波動の干渉(二つの波動から二つの波動が生まれる):グノーシス化を起こす
波動の合成(二つの波動からひとつの波動が生まれる):グノーシスとの融合現象を起こす
グノーシスの波動は人間の意識波動に対し優位に作用するため(強い拒絶の意志しか持ってないので、波形はシンプルだが波動そのものは強いと思われる)、合成と干渉のどちらも、生まれた波動はグノーシスの波形に類似したものとなる。
集合的無意識内の意識波動が変化すると、対応している実数領域の物質にリアルタイムで反映されるので(上記1参照)、グノーシスと人間の融合や、人間のグノーシス化が起きる。ただし無機物等の意識波動は波形が単純なので、グノーシスの意識波動の干渉を受けても波形はほとんど変わらない。従って実数領域側の変化も起きない…ことにする。
ちなみにEp.1で人間の遺体をグノーシスが攻撃し続けている描写があるが、既に死亡して肉体から意識が離れているため、グノーシス化もグノーシス融合現象も起きていない。
4-2. 補足1 波動の干渉(グノーシス現象) 100%
接触によってグノーシスの波動と人間の意識波動が互いに干渉しあった場合、人間の意識波動はグノーシスの波形に類似したものへと変化する。その結果起きるのが人間のグノーシス化で、機序はグノーシス現象の項1(観測用波動への暴露)とまったく同じである。
ただしグノーシスを構成する意識波動は、観測用波動よりもはるかに微弱であるため、人間の意識波動の変化はさらにゆっくりと進行し、意識波動が瞬殺される割合もずっと低くなる。たとえばアンドリューはアニマ反応者ほどではないがかなり強い意志を持っていたので(プラス薬の効果)、消失現象は非常にゆっくりと進んだ。
波動の干渉の特徴
・波形は変化するが個としての意識波動は残る(グノーシスとして)
・入れ替わり現象を伴う
・白化は起きない
4-2. 補足2 波動の合成(グノーシス融合体) 100%
グノーシスの波動と人間の意識波動の合成は滅多に起きない。グノーシスは基本他者を拒絶するので、よほど波形が類似した波動でないと合成されないからだ。
だが接触された人間が強い恐怖や拒絶の意志を持った結果、意識波動の波形がグノーシスと一致すれば、互いの波動は合成される。人間の意識波動はグノーシスの波動に飲み込まれ、散逸する意識の一部となって実数領域に逸脱していく。波動の合成はグノーシスの波動に引き摺られる形でじわじわ進み、グノーシスの波動も人間の意識波動の影響を受け、わずかにだが波形が変化していく。
合成がじわじわ進むので、融合もじわじわ進む。人間の意識波動はグノーシスの一部となり個としての意識は完全に失われるので、入れ替わる意識もなくなることになり、人間の肉体は消失ではなく白化を起こす。白化した肉体はグノーシスと融合し、彼らの構成成分(水と塩化ナトリウム)となる。
この過程を実数領域側から見たものが「グノーシスと人間の融合」である。劇中ではEp.1冒頭のグノーシスと軍人(が搭乗したA.G.W.S.)の融合、少女とグノーシスの融合(ベティ)が確認できる。
波形が変化したグノーシスの外観は、元となったグノーシスの特性(クジラ型とか)や目撃者の主観(あの人がグノーシスになってしまった!的な)などに影響されて変化する。融合する際に白化した肉体が損壊しなければ、その形が残ることもある。つまり見た目はもとの人間(やA.G.W.S.)の形を残していても、肉体そのものが残っているのではなく、意識が欠如した塩の塊が残されているだけである。
波動の合成の特徴
・個としての意識波動は失われる
・入れ替わり現象は起きない
・白化を伴う
ちなみに無機物であるA.G.W.S.がグノーシスと融合したのは、パイロットの意識がA.G.W.S.の意識波動を巻き添えにしながら散逸したためだ。A.G.W.S.単体の意識は散逸しないが、パイロットとその搭乗機という深い縁を持っていた。これは集合的無意識でパイロットと搭乗機の意識波動が隣接に近い状態にあったことを意味し、その結果このような融合現象が起きた。
4-3. グノーシス現象(グノーシス化)まとめ 75%
グノーシス現象の基本は、意識の散逸と入れ替わり(融合の場合は白化)現象の二点である。これは機序を同じくする他の現象にも共通し、グノーシス現象と消失現象、さらにグノーシス接触によるグノーシス化はすべて「意識の散逸と入れ替わり現象」の派生型であるといえる。
意識波動を散逸させる強さが強いほど、意識の散逸と入れ替わり現象にかかる時間は短くなり、同時に意識自体が消滅する(白化現象)割合も高くなる。
意識の散逸+入れ替わり現象が引き起こす様々な現象
消失現象+グノーシス出現(超速)=グノーシス現象(緩徐
)
=グノーシス接触によるグノーシス化(超緩徐)
意識の消滅が引き起こす様々な現象
白化現象(超速&緩徐)≒グノーシス接触によるグノーシスとの融合現象(超緩徐)
ただこのことを理解している人間は、作中の世界ではほとんどいないと思われる。それが登場する人物達の台詞の矛盾や物語の難解さを生んでいる。
事象変移の場合、人間の意識波動は桁違いに強い観測用波動に晒されるので、観測が開始されると同時に散逸する意識へと変化する。さらにゾハルが燦然と輝いているため入れ替わり現象も瞬時に終了し、目撃者は波形の変化の過程を実数領域の肉体の変化という形で視認できない。そのため人々は、事象変移で発生する消失現象とグノーシスの出現が同一現象だと気付かない。そしてグノーシス現象が、消失現象+グノーシス出現のゆっくり版であるとも気付かない。
また人間がグノーシスと接触した場合は、意識の散逸は波動の干渉という形でじわじわ進み、入れ替わり現象もじわじわ進行する。そのため人々は肉体がグノーシスに侵食されていると誤解し、グノーシスとの接触の有無という見た目の大きな違いも手伝って、やはりこれが消失現象+グノーシス出現のゆっくり版だと気付かない。
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原因 |
意識の瞬殺率 |
所要時間 |
消失現象 |
観測用波動 |
非常に高い |
計測不可能(超短) |
グノーシス現象1 |
観測用波動 |
やや高い |
あっという間(緩徐) |
グノーシス現象2 |
グノーシスとの接触 |
1よりもずっと低い |
1よりもずっと長い(超緩徐) |
グノーシス現象1'(平時) |
観測用波動 |
観測の規模による |
観測の規模による |
白化(参考) |
観測用波動
グノーシスとの接触 |
100% |
観測用波動だと超短か緩徐
グノーシスだと2と同程度(超緩徐)
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事象変移補足 / Xenosaga
事象変移と局所事象変移 80%
作中では惑星消失等の大規模な事象変移のみを「事象変移」あるいは「局所事象変移」と呼んでいる。局所事象変移とは、事象変移が限局した範囲で発生した場合を指すが、範囲の定義は不明である。
だが、たとえば事象変移を入れ替わり現象そのものだとするならば、観測行為やグノーシスとの接触によってひとりの人間の意識が散逸し、グノーシスを一体発生させただけでも、それは事象変移が起きたと言え、これを局所事象変移と呼ぶことはできるかもしれない。
また、作中には聖堂船型と呼ばれる惑星のグノーシスが登場するが、惑星がグノーシス化するには相当大規模な観測行為が必要となる。事象変移と局所事象変移は、惑星が消失(実際は観測行為による入れ替わり現象を来している)するかしないかで区別されているのかもしれない。
知的生命体以外のグノーシス(グノーシス集合体) 75%
事象変移が起きても、人間以外の生物や無機物のほとんどは消失現象を起こすだけで、グノーシスは発生しない。人間以外の物質のほとんどは拒絶の意志を持つほど高度な精神活動を行っていないので、これらの意識は散逸する意識にはならず、グノーシスとして実数領域に出現することもないからだ。だが高度な精神活動を行っていないように見えて実は…という物質も存在する。
Ep.1で惑星アリアドネの消失現象が起きたが、これはゾハルエミュレータの起動実験に失敗し、事象変移が発生したためである(厳密な意味では起動は成功している)。
集合的無意識にあった惑星の意識は拒絶の意志を持って虚数領域を逸脱し、実数領域の物質である惑星と入れ替わった。その結果、惑星が消失したのである。人々は惑星ごと虚数領域に移動させられ(当然人間その他の意識も散逸や消滅を起こしている)、実数領域には惑星のグノーシスである聖堂船と、その他大勢のグノーシスの皆さんが出現した。
作中では「聖堂船型グノーシス」という言葉が市民権を得ていることから、グノーシスとなった惑星の意識は他にもあるらしいとわかる。もちろん人々は、聖堂船型グノーシスが惑星の意識の成れの果てであるとは気付いていない。
もしかしたら惑星の他にも、グノーシスとなった人間以外の生命体や物質があるかもしれない(縄文杉とか殺生石のグノーシスとか…グノーシスになってしまうと見分けはつかないが。
ただ、本当に惑星が意識を持っているかどうかは疑問である。なぜならば、攻略本に「グノーシスが集合体を形成する」という記述があるからだ。
グノーシスとは「拒絶の意志」を持つ意識波動なので、その波形は極めて単純であるうえ、ほぼすべてのグノーシスが似たような波形を持つ。波動同士の接触による波動の合成(あるいは干渉)について上で述べたが、似たような波形を持つ波動間で合成が起きた場合、生まれた波動の波高は高まり、合成前より強い波動が誕生する。この現象をグノーシスに当てはめると、二体以上のグノーシスが融合し、より大きなサイズのグノーシスが生まれることになる。人間はグノーシス=意識波動の強さを視覚的に捉えているので、波動が強くなった=でかくなったと認識するからだ(このへんはあまりつっこまないでください)。
惑星規模の事象変異は膨大な数のグノーシスを発生させるので、過密状態となったグノーシスの間で衝突事故が多発する。このとき波形の類似した複数のグノーシスたちが接触すると、波動の合成により、ひとつのグノーシス集合体が形成される。これを繰り返せば、惑星規模の巨大なグノーシスが誕生してもおかしくはない。
つまり惑星そのものが意識を持っているのではなく、惑星規模の事象変移で大量のグノーシスによる集合体が形成され、結果的に惑星に匹敵するほどの巨大なグノーシスが誕生したのだとも考えられる。